スマートフォンは生活に欠かせない道具となりましたが、その利用時間の長さが心身への影響として注目されています。総務省の調査によると、スマホ保有率は9割を超え、平均利用時間は一日4時間前後とも言われます。特に若い世代では動画視聴やSNS利用に多くの時間が費やされ、睡眠不足や学習への影響が懸念されています。
こうした中、愛知県豊明市では「スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」が議論されました。これは市民全体を対象に、仕事や学習以外の利用は一日二時間以内を目安とし、子どもには夜間利用の時間制限を設けるというものです。罰則はなく、家庭や地域でのルールづくりを促す啓発的な意味合いが強い点が特徴です。
この取り組みは賛否が分かれます。健康や生活リズムを守る一助となる一方、「一律の時間制限は個人差を無視する」「自治体が私生活に介入しすぎでは」といった批判もあります。実際、利用時間は学業や仕事にも直結しており、単純に“減らせばよい”とは言い切れません。しかし「何となく使っていた時間」を見直すきっかけとして条例が機能する可能性はあります。
私たち自身も、通知を整理したり、就寝前は画面から離れるなど、自分なりのルールを持つことが大切です。条例は強制ではなく、スマホとの付き合い方を考えるきっかけ。便利さと健全さのバランスをどう取るか、地域や家庭で話し合うことが求められています。




