「災害時は停電するもの」。私たちはそう考え、懐中電灯や非常食を備えています。しかし、在宅で人工呼吸器や酸素濃縮器などの医療機器を使用している人にとって、停電は「不便」ではありません。それは命に直結する危機です。
南海トラフ巨大地震の発生が懸念される徳島県。板野郡5町には、医療的ケア児や在宅医療を受ける高齢者など、多くの「電源を必要とする人」が暮らしています。一方で地域を見渡せば、自家発電設備を持つ企業、太陽光発電や蓄電池を備えた住宅、EV(電気自動車)の外部給電機能、ポータブル電源など、災害時に活用できる電源は決して少なくありません。
課題は「電源がないこと」ではなく、「必要な人と電源がつながっていないこと」です。
この課題を解決するため、一般社団法人SHIKOKU Designは、WAM助成事業として「命と生活をつなぐ電源共助コミュニティ」の構築を進めています。その核となるのが「電源パートナーMAP」です。
このマップには、地域の電源資源を登録し、発電の可否や連絡先、担当者、接続条件などを見える化します。災害時には、必要な場所へ迅速につなぐことができるだけでなく、平時から接続方法を学び、情報を更新し続けることで、地域全体の防災力を高めていく仕組みです。
防災は行政だけが担うものではありません。企業には設備があり、住民には地域を支える力があります。それぞれが持つ資源を結び付けることで、地域はもっと強くなれます。
弊社系列一般社団法人(非営利型) SHIKOKU Designは、その「橋渡し役」として行政、企業、地域住民をつなぎ、板野郡5町をモデル地域として新しい共助の形を実践していきます。2027年2月には災害模擬訓練も予定しており、実際に電源と医療機器を接続する訓練を通じて、机上の計画ではない「使える備え」を地域に根付かせます。
災害は防げません。しかし、災害によって失われる命は減らすことができます。
そのために必要なのは、高価な設備を増やすことだけではなく、人と人、人と地域資源を結び付ける「仕組み」です。
「停電しても、命を止めない。」
この言葉をスローガンではなく、地域の現実にするために。私たちは、電源を「所有する時代」から「地域で支え合う時代」へ、一歩を踏み出しています。




