「いつもと同じ買い物なのに、支払額が増えた」 そんな実感が重なる秋です。帝国データバンクの調査では、2026年10月の飲食料品の値上げは3,153品目、対象品目の平均値上げ率は10%。飲料や調味料、冷凍食品など、身近な食品が含まれています。
背景には原材料高だけでなく、人件費や物流費、包装資材費の上昇があります。つくる側、運ぶ側にも負担があり、企業の努力だけで価格を維持することも難しくなっています。
しかし、家計の工夫にも限界があります。内閣府の分析では、所得が低い世帯ほど支出に占める食費の割合が高く、食品の値上げの影響を受けやすいことが示されています。同じ100円の値上げでも、暮らしへの重みは同じではありません。
気になるのは、節約によって削られるものです。食事の楽しみや友人と会う機会まで減らしてしまえば、家計簿には表れない負担も生まれるのではないでしょうか。価格の問題は、生活の豊かさの問題でもあると思います。
安い商品を選び、食品を無駄にしない工夫は大切です。ただ、「もっと節約を」と個人に求めるだけでは十分ではありません。賃金の上昇や生活に困る人への支援を、暮らしの実感につながる形で進めることが必要です。値上げの秋に問われているのは、我慢の仕方ではなく、安心して暮らせる条件をどう整えるかだと思います。




