だれもが「認知症にはなりたくない」と、言います。よく聞く理由は、「自分が自分でなくなるから」だそうです。家族の顔や名前が分からなくなったり、さっき食べたご飯の事を忘れてしまったりします。単なる物忘れと違い、最終的には認知機能の低下によって日常生活が送れなくなる病気です。
予防と治療
わが国では、高齢化の進展に伴い、認知症者の数も増えています。一説によれば700万人前後とも。特に年齢が上がればあがるほど発症率は高くなります。80歳を超えれば3人に1人、90歳を超えれば2人に1人が認知症になります。つまり、長生きすれば誰もが認知症になる可能性はあります。
では、認知症にならないための予防策はあるのでしょうか。一時期「脳トレ」ブームがありました。簡単なドリルやゲームによって脳の活動を維持しようとする試みです。でも、長期的な研究からは、その効果が大きくないことが分かりました。
認知症は脳の病気です。特殊なたんぱく質が脳内で増えて発症することが分かってきましたが、なぜそのたんぱく質が増えて脳の細胞を破壊するのかまでは未だ解明されていません。お薬もいくつかありますが、あくまでも進行を遅らせるためのもので、治癒に導く薬ではありません。科学の力によって認知症の治療薬が出ることを祈るばかりです。
予防できる因子は計40%
さて、世界をリードする認知症の専門家からなるランセット委員会が潜在的に予防できる因子の確率を示しました。直近では40%となっています。いじわるな言い方をすると、残り60%はその人の「運」と言えます。ただし、様々な因子を除外していくことで、認知症になるリスクは間違いなく下がりますので、是非日々の生活に活かして頂ければ幸いです。
自分でいる
最後に、認知症になったからといって「自分が自分でなくなる」ということではないと思います。息子さんの顔を見て嬉しそうに笑ったり、その瞳にはあなたの笑顔がいつも映し出されているのですから。そう、命尽きるまで「自分のまま」なんです。
文献
Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission
いつも興味深いブログをありがとうございます。
認知症を予防できる因子は40%もあるのですか!
私は自分が認知症になったときは周りに迷惑をかけたくないなと頭の片隅で思いながら、「なったらなったとき」と半ば開き直っていました。40%あるなら日常生活に活かせますね。
コメントありがとうございます。考え方だと思います。コインの表裏より確率が低いから諦めてしまうのか。それとも40%の予防因子について頑張って努力するのか。人それぞれです、!(^^)!
認知症の母親がいる私としては、何を食べたか、誰にあったのかも最近はわからなくなって本人も辛そうですが、私の顔をみると笑顔になって同じことを何回も何回も聞いてきます。その度に、同じことを答えるのですが、
子供になったんだなぁ〜って思って接してます。
認知症は予防出来ればそれに越したことはないですが、人様に迷惑をかけないのであれば、自然に委ねてもいいのではないでしょうか!案外可愛いもんですよ。
コメントありがとうございます。だれもが認知症になる可能性がある、だから今をちゃんと生きることが大切だと思います。ちゃんと、というのは、他者や社会に尽くすことができる「利他的」な生き方かもしれませんね。