健康だから幸せなのか、幸せだから健康なのか。どちらが先や後ではなく、どちらも満たしてこそ健康で幸せなのでしょう。つまり「健幸」でいることです。
健康は、身体的健康だけでなく、精神的健康も重要です。世界保健機構WHOは、健康について「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。
(原文)
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
では、社会的に満たされた状態とは、どのような状態なのでしょうか。先週IKIGAIのお話をしましたが、収入が得られ経済的に満たされていることもそのひとつでしょう。
でも、経済的に満たされていれば幸せか、という問いには、一定のお金は必要だけども、お金で幸せは買えない、とも言われています。海外の研究では、年収800万円前後(日本の平均所得よりは上)で幸福度が頭打ちになると示されています。
それよりも、人は誰かとつながることで社会とつながり、その実感によって幸せを感じます。
そういった人とのつながりをソーシャル・キャピタルといって有用な社会資源とされています。赤ちゃんもお母さんとつながっていますので、実は生まれた瞬間から人は社会とつながっていることになります。なんと、ソーシャル・キャピタル指数が高い地域では、合計特殊出生率を押し上げる効果があるようです。
健幸でいることは人とつながり続けること、その関係性によって健幸の状態を少しでも長く保ち、豊かな人生を送りたいものです。
文献
世界保健機構(World Health Organization): https://www.who.int/ (1948年)
Kahneman D, Deaton A:High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Sep 21;107(38):16489-93. doi: 10.1073/pnas.1011492107. Epub 2010 Sep 7. PMID: 20823223; PMCID: PMC2944762.
内閣府:コミュニティ機能再生とソーシャル・キャピタルに関する研究調査報告書 (2005年)